夏休み明けの不登校|今日からできる対応と頼れる支援先

夏休み明けは不登校のきっかけになりやすい時期です。「学校に行きたくない」と言われたら?公認心理師・スクールカウンセラーが、家庭での対応、子どもへの関わり方、出席扱い制度やフリースクールなど頼れる社会資源を分かりやすく解説します。

長い夏休みが終わりに近づくこの時期は、一年のなかでも子どもの心がもっとも揺れるときです。
子どもが「学校に行きたくない」と言った日のことを、今でも鮮明に覚えている保護者の方は少なくありません。
朝、布団から出てこない我が子を前に、どう声をかければいいのか分からず立ち尽くした。仕事に行く時間が迫るのに、玄関で泣きじゃくる子どもを置いていくしかなかった。「このまま社会に出られなくなったらどうしよう」という不安で、夜も眠れなくなった――。

そんな日々を過ごしている保護者の方に、まずお伝えしたいことがあります。
あなたは、決して一人ではありません。

この記事では、公認心理師・スクールカウンセラーとしての臨床経験と、最新の文部科学省の動きも踏まえながら、今日からできる対応と、頼っていい社会資源についてお伝えします。


不登校の子どもは、いま35万人を超えています📊

文部科学省が2025年10月29日に公表した「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、2024年度の不登校の小中学生は353,970人にのぼり、12年連続で増加して過去最多となりました。

  • 小学校:137,704人/中学校:216,266人
  • 1,000人あたり38.6人(前年度37.7人)
  • もっとも多い要因は「学校生活に対してやる気が出ない」(30.1%)

つまり、どの教室にも、不登校を経験している、あるいはこれから経験するかもしれない子どもがいる計算です。いじめなど分かりやすい原因がなくても、子どもの心は限界を迎えることがあります。

この数字を最初にお伝えしたのは、「うちの子だけが行けないのではない」ということを、まず知っていただきたかったからです。


不登校は「甘え」でも「気持ちの問題」でもありません🌱

「行きたくない」と言えるまでに、子どもは長く耐えています

「学校に行きたくない」と言えるようになった時点で、実はその子はかなり長い間、一人で耐え続けています。子どもにとって、それは最終段階の意思表示です。親にとっては「始まり」に感じられても、子どもにとってはギリギリまで我慢した末のSOSなのです。

「休めてラッキー」と思っている不登校の子はいません。行きたくないから行かないというのは、気持ちと行動が一致しているだけで、本人が一番つらい思いをしています。

言葉にできないストレスは、身体のサインとして先に出ます

体調不良、食欲不振、不眠、情緒不安定――言葉にできないストレスは、体のサインとして先に現れることがよくあります。保護者の方が、本人よりも先にその違和感に気づくことも少なくありません。

「もしかしていじめられているの?」と直接的に聞きたくなっても、ストレートに聞きすぎないことが大切です。子どもが落ち着いているタイミングで「何か力になれることはある?」と手伝えることを尋ね、「気になることがあったらいつでも言ってね」と、いつでも味方でいることを伝えるだけで十分です。

📌子どものころの体験が心身にどう残るのかについては、こちらの記事も参考にしてください。
トラウマとは何か──幼少期の体験が“今の生きづらさ”に影響する理由


まず家庭でできること――3つの心がけ🏠

①「分かった」と言って、休ませる勇気

子どもから「学校に行きたくない」と言われたときにできることは、実はひとつだけです。「分かった」と言って、休ませてあげること。

「様子を見てみよう」「明日だけ頑張ってみよう」という声かけは、子どもをさらに追い詰めてしまいます。「分かった」と言われることで子どもは初めて安心して休むことができ、「疲れたら休める」と思えることで、逆に心に余裕をもって過ごせるようになります。

② 親の不安を、子どもにぶつけない

学校に行かなくなったわが子を見ていると、将来への不安で押しつぶされそうになるのは当然のことです。ただ、その不安をそのまま子どもにぶつけてしまうと、子どもはさらに追い詰められてしまいます。

ある保護者の方は、車の中で思いきり泣いてから家に帰るようにしていたそうです。親の不安は、子どもとは別の場所で発散する。それだけでも、家庭の空気は変わっていきます。

📌「休むと不安になってしまう」という保護者の方は、こちらの記事も参考にしてください。
うつ予防の鍵は「何もしない時間」|休めない人の心理と整え方

③ こころのエネルギーが貯まるのを、信じて待つ

学校に戻ることを焦らないでください。こころのエネルギーが枯渇したまま学校に戻っても、また苦しくなるだけです。エネルギーの源になるのは、次のようなものです。

  • 安心感
  • 自分で決められる感覚
  • 楽しい気持ち
  • 誰かと一緒にいる心地よさ
  • 規則正しい生活リズム

家庭の中で「ありがとう」と感謝される体験を積み重ねることも、自信の土台になります。エネルギーが貯まっていけば、転機は必ず訪れます。

📌この「安心感」がどうやって育つのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
努力しても安心できない人へ|「安心感」はどう育つのかを公認心理師が解説


子どもへの関わり方――「学校に行かせる」より先にできること🌿

勉強のことを気にする保護者の方は多いのですが、机に向かおうとすると学校での嫌な記憶がよみがえってしまう子もいます。ある程度元気が戻るまでは、無理に勉強させないほうがよいでしょう。

それより大切なのは、学校の時間帯であっても人目を気にせず外に出られる環境をつくることです。図書館、博物館、児童館、プール、公園――学校では味わえない体験を、思い切って後押ししてあげてください。

自由に話せる、否定されない、評価されない。子どもが好きなことについて一緒に喜んでくれる大人がいる。それだけで、子どもは伸びていく力を取り戻していきます。

実際の臨床でも、まず「好きなこと」を一緒に見つけるところから関わりを始め、少しずつ表情が戻っていくお子さんを、私はこれまで何人も見てきました。


一人で抱え込まないために――頼っていい社会資源🤝

不登校への対応で保護者の方を最も追い詰めるのは、「相談先が分からない」ことです。実は、頼れる場所はあります。

学校・教育委員会――「出席扱い」という選択肢📄

2026年4月、文部科学省は不登校児童生徒の「出席扱い」「成績評価」に関する保護者・教員向けのリーフレットを新たに公開しました。

学校外の公的機関や民間施設での相談・指導、自宅でのICT教材を使った学習なども、一定の要件を満たせば校長の判断で出席として扱われる可能性があります。出席の有無だけでなく、休んでいる間の学びの成果を評価する考え方も示されており、まずは在籍校や教育委員会に相談してみる価値があります。

そのほかの相談先・居場所🏫

  • 教育支援センター:多くの自治体に設置されている公的な相談・学習支援の場で、基本的に無料で利用できます。
  • スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー:学校の中で、心理面・生活面の両方から相談に乗ってくれる専門職です。
  • フリースクール・ホームスクーリング:学校以外の学びの場として、教育機会確保法でもその重要性が明記されています。公設民営のフリースクールもあり、自治体によっては費用の助成制度もあります。
  • 親の会:同じ経験をした保護者同士がつながれる場です。「生きた情報」が得られるだけでなく、「自分だけじゃない」と思えることが、保護者自身の支えになります。
  • カウンセリング(心理療法):お子さん本人だけでなく、保護者の方ご自身が話を聞いてもらう場として利用することもできます。親が元気を取り戻すと、子どもも元気になっていきます。

📌「どんな相談先を選べばいいか分からない」という方は、こちらの記事が参考になります。
どんなカウンセラーを選べばいい?安心して相談できる心理カウンセラーの見つけ方

進路のこと――高校受験と出席日数🎓

義務教育の間は、学校に通っていなくても中学校までは卒業できます。

高校受験については出席日数を気にされる方が多いですが、内申書に出席日数を記載しない自治体が増えており、不登校期間に何を学んだかを重視する選抜方法を用意している自治体もあります。詳しくは、学校の進路担当の先生に確認してみてください。


不登校の「その後」は、決して一つではありません🌅

統計的に見ても、不登校を経験した子どもが必ず引きこもってしまうという事実はありません。その後の道は実にさまざまで、早い段階から社会に出ていく人、会社員になる人、家庭を築く人――多くは、いわゆる「普通の大人」になっていきます。

不登校という時間が、その子にとって必要な休養であり、自分自身を見つめ直す時間になることも少なくないのです。

「頑張って学校に行かせる」ことよりも、「この子が安心して自分の人生を歩んでいけるように支える」ことを、目標にしていただきたいと思います。

学校に行っていても行けなくても、大切な子どもだということ。

焦らず、慌てず、諦めず――お子さんの成長する力を、どうか信じてあげてください。

一般社団法人プラスワンライフのサポート🛋️

私はこれまで精神科クリニックで15年間、7,000回以上のカウンセリングを行ってきました。その中で、悩むお子さん本人だけでなく、それ以上に苦しんでいる保護者の方の姿をたくさん見てきました。

もし一人で抱えきれないと感じたときは、どうぞ私たちを頼ってください。臨床経験を活かし、お子さんとご家族に寄り添うカウンセリングを行っています。ご本人だけでなく、保護者の方ご自身のご相談も承っています。

📌初回はどんなことをするのか、どう進んでいくのかは、こちらをご覧ください。
カウンセリングの流れ|心理療法と回復支援

📌「まだ相談するか決めていない」という段階でも大丈夫です。匿名でのご相談も承っています。
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FAQ❓(よくある質問)

Q1. 「学校に行きたくない」と言われたら、まず何と答えればいいですか?
A. まずは「分かった」と受け止めて、休ませてあげてください。「様子を見てみよう」「明日だけ頑張ってみよう」という声かけは、善意であっても子どもをさらに追い詰めてしまいます。「分かった」と言われて初めて、子どもは安心して休むことができます。理由を問いただすのは、そのあとで大丈夫です。

Q2. 一度休ませたら、そのまま行かなくなってしまいませんか?
A. ご心配はもっともですが、順序が逆です。こころのエネルギーが枯渇したまま学校に戻っても、また苦しくなってしまいます。むしろ「疲れたら休める」と思えることで、心に余裕をもって過ごせるようになります。安心感・自分で決められる感覚・楽しい気持ち・誰かといる心地よさ・規則正しい生活リズム――これらが貯まっていけば、転機は必ず訪れます。

Q3. 原因が分かりません。いじめかどうか、本人に聞いたほうがいいですか?
A. ストレートに聞きすぎないことをおすすめします。「もしかしていじめられているの?」と迫ると、子どもは答えられなくなってしまうことがあります。落ち着いているタイミングで「何か力になれることはある?」と尋ね、「気になることがあったらいつでも言ってね」といつでも味方でいることを伝えるだけで十分です。実際、もっとも多い要因は「学校生活に対してやる気が出ない」であり、はっきりした原因がないことも珍しくありません。

Q4. 勉強の遅れが心配です。家で勉強させたほうがいいですか?
A. 机に向かおうとすると学校での嫌な記憶がよみがえってしまう子もいます。ある程度元気が戻るまでは、無理に勉強させないほうがよいでしょう。学習の再開は、こころのエネルギーが戻ってきてからで間に合います。

Q5. 学校の時間帯に外出させてもいいのでしょうか。人目が気になります。
A. ぜひ外に出られる環境をつくってあげてください。図書館、博物館、児童館、プール、公園――学校では味わえない体験が、子どもの回復を支えます。自由に話せる、否定されない、評価されない。好きなことを一緒に喜んでくれる大人がいる。それだけで、子どもは伸びていく力を取り戻していきます。

Q6. 学校を休むと、出席日数や高校受験に影響しますか?
A. まず、義務教育の間は学校に通っていなくても中学校までは卒業できます。また、学校外の公的機関・民間施設での相談や指導、自宅でのICT教材を使った学習も、一定の要件を満たせば校長の判断で「出席扱い」になる可能性があります(2026年4月に文部科学省がリーフレットを公開しています)。高校受験についても、内申書に出席日数を記載しない自治体が増えています。まずは在籍校や教育委員会、進路担当の先生にご相談ください。

Q7. 親である自分のほうがつらいのですが、相談してもいいですか?
A. もちろんです。カウンセリングは、お子さん本人だけでなく保護者の方ご自身が話を聞いてもらう場として利用できます。親の不安は、子どもとは別の場所で発散することが大切です。親が元気を取り戻すと、子どもも元気になっていきます。同じ経験をした保護者同士がつながる「親の会」も、大きな支えになります。

Q8. 不登校になると、将来引きこもってしまうのでしょうか?
A. 統計的に見ても、不登校を経験した子どもが必ず引きこもってしまうという事実はありません。その後の道は実にさまざまで、早い段階から社会に出ていく人、会社員になる人、家庭を築く人――多くは、いわゆる「普通の大人」になっていきます。不登校という時間が、その子にとって必要な休養であり、自分自身を見つめ直す時間になることも少なくありません。

参考文献・出典📚

  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2025年10月29日公表)
  • 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価に関する保護者・教員向けリーフレット」(2026年4月9日公開)
  • 小林正幸 監修『子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社、2026年)
管理者

阿賀嶺 壮志(あかみね たけし)
1983年、沖縄生まれ
一般社団法人プラスワンライフ代表理事:公認心理師

精神科クリニックや学校現場で、15年にわたり心理支援・カウンセリングに携わってきた信頼と実績のあるカウンセラー。
幼少期の病弱さと孤独な経験から「ありのままの自分を受け止めてくれる存在」の大切さを深く実感し心理の道を志す原点となる。
教員時代の挫折や、言葉を超えた児童との心のつながりを通して、トラウマ支援への使命感を強めていった。

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