『限りない欲望』の果てにあるもの

沖縄でカウンセリング業を営んでいる公認心理師のアカミネです。今回は「人の欲望」について、心理学の視点からお話ししたいと思います。心理学に興味のある方にとって、このテーマは特に重要なものとなるでしょう。

人間は欲望を持ち続ける生き物です。何かを手に入れることで喜びや充実感を得たり、より良い状態になりたいと願う気持ちは、私たちの日常生活に欠かせないものです。しかし、人の欲望には限界がないと言われる理由は、求めれば求めるほどに欲望が湧き上がってくるからです。

物質的な欲望に関して言えば、新しいものを手に入れたり、より豪華なものを持つことが魅力的に映ります。しかし、求めることに終わりはありません。欲しいものを手に入れたとしても、それに飽き足りなくなり、さらに高いレベルのものを求めるようになることがあります。

心理学的に言えば、このような欲望の限界がない現象は、「ヘドニック・アダプテーション」として知られています。これは、人が新しいものを手に入れることで一時的に幸福を感じるものの、しばらくすると慣れてしまい、以前の幸福感を取り戻すためにより多くのものを求めるという心理のメカニズムです。

求めることに終わりがないと感じることは、人間関係においても起こります。

自分の欲望や要求を満たしてもらえなかったり、相手との関係に満足できない場合、より理想的な関係を求めることがあります。しかし、理想的な関係を求め続けることで、現実の関係に満足できなくなるリスクもあります。

知足ちそく(足りていることを知ること)」

心のケアが必要な方々にとっては、このような欲望の限界を理解し、足りる事を知ることが重要です。無限に欲望を追い求めることは、心にストレスや不安を与える可能性があります。自分が今持っているものに感謝し、足りない部分ではなく、充実している部分に目を向けることで、心のバランスを取り戻すことができるのです。

心理学の観点から見れば、欲望の限界を理解し、足りることを知ることは、より心の健康を促進することにつながります。

物質的な豊かさや理想的な人間関係を求めることは大切なことですが、それだけに執着しすぎることは注意が必要です。現実の中で感じる喜びや充足感を大切にし、自分自身を受け入れることで、心の平穏を見つけることができるでしょう。

啓発書などにはよく「価値の高い人たちとだけ付き合うこと」のように、排他的な文章が載っていることがあります。このような優位思想的な発想は大変危険であると同時に、自己の成長からもまったく逆をいっているようなものです。どんな人からも学ぶべきものがあります。人間関係に柔軟に対応していくことが出来れば、あなたのその大らかさが多くの人を惹きつけることになるでしょう。

また、他者と比較して自分が足りないと感じることもありますが、自分の価値を他者と比較することでしか測れないのではありません。それぞれの人生や経験は異なり、他者と同じである必要はありません。自分自身を大切にし、他者と比較せずに自分の成長や幸福を追求することが大切です。

心のケアが必要な方々に対しては、心理学の知見を通じて、欲望の限界を理解し、足りることを知るためのサポートをしています。自分自身を受け入れ、今持っているものに感謝することで、心の平穏を見つけることができます。あなたの学びと共に、明るい未来を歩んでいくことを心から願っています。

「富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、喉が渇いていく」

「億男」著:川村元気

管理者

阿賀嶺壮志(アカミネタケシ)1983年沖縄生まれ。
教育学部卒業後に小学校教師となるが、先生同士の対人関係で悩み教員を離れる。その後大学などで学び、作業療法士、公認心理師となり沖縄県内の精神科クリニック及び小中学校のスクールカウンセラーに勤務。2019年より心理学講師(ウェルカルチャースクール/男女共同参画センターてぃるる)2021年に絵本『さばくと少年』を出版。同年コザ信金創業セミナーにてベストビジネスプランナーに選ばれる。

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