こころの健康を守る術:『キャピタリズム時代』の心理学的アプローチ

私はPlusOneLifeとして、沖縄でカウンセリング業を営んでいます。今回はテーマとして「キャピタリズム」について考えてみたいと思います。このテーマは、私たちの生活に深く関わっている重要な要素の一つです。

さて、まずはキャピタリズムとは何かをご説明しましょう。キャピタリズムは、市場経済の基盤となる経済体制のことを指します。このシステムでは、生産手段や商品の所有権が民間の個人や企業に帰属し、市場において競争と供需の関係によって価格が形成されます。私たちは日常的にこのシステムに囲まれて生活しており、消費や投資などを通じて関わっています。

現在と未来、繋がっている一方で…

「いまは我慢して、将来の安心を確保しよう」

という考え方、皆さんも一度は耳にしたことがあるかもしれません。確かに、将来に備えて今を節約したり、投資したりすることは重要です。しかし、その過程で大切なことを見過ごしているかもしれません。

キャピタリズムの下で、私たちは未来への投資や資産の蓄積を考えますが、同時に現在を楽しむことも大切です。人生はバランスの取れたものが幸福感につながります。無理に今を犠牲にして将来を考えるだけでは、ストレスや不安が積み重なる結果となることもあります。

現代社会では成功や富が尊ばれ、競争が激しい環境が広がっています。その中で、自分の価値を評価する基準をお金や地位に重点を置いてしまうと、心に大きな負担を抱えることなります。

キャピタリズムがもたらす競争や成功への追求は、自尊心やストレスに影響を及ぼすことがあります。他人と比較するのではなく、自分自身の感情や幸福感を大切にすることが心の健康を保つポイントです。

こころの健康を守る

キャピタリズムの中で生きる私たちにとって、心のバランスを取ることは重要です。以下にいくつかの心理学的アプローチを紹介します。

1. 自己同一性の探求

自己同一性は、自分自身の認識や価値観、目標などが一貫してつながっている状態を指します。キャピタリズムの中で、外部からの評価や成功の追求に縛られることなく、自分自身の内面と向き合うことは重要です。心理学的アプローチとして、自己同一性の探求を通じて、自己理解を深め、内なる充実感を育むことができます。相対的幸福(他と比較して得られる幸福)よりも、絶対的幸福(自分が軸となる幸福)の追求をすることが大切です。相対的幸福は持続時間が短いことが知られています。また、常に周りとの比較で物事を判断するため、それだけで疲弊していまうでしょう。「これをしている時が私の幸せ」という時間を作ることは心身の健康にも大変良いことです。

2. ポジティブ心理学の活用

ポジティブ心理学は、幸福感や満足度を追求する心理学の一分野です。キャピタリズムの流れに押し流されずに、自己肯定感を高めるためにポジティブ心理学のアプローチを活用できます。日常の中で感謝の気持ちを意識的に持つ、自分の強みにフォーカスするなど、ポジティブな視点を養うことで、心のバランスを保ちながら幸福感を向上させることができます。「自分にはポジティブな面がない」と考えている場合は、これまでの経験や人から言われたことが傷になっていることが考えられます。もしあなたの親友が同じ立場だとしたらどうでしょうか。自分では気が付かない良い面を見つけてあげたいと思うのではないでしょうか。あなた自身に対しても同じように接してあげてください。あなたの一番の味方はあなた自身であって欲しいと思います。

3. ストレス管理とリラックス法

キャピタリズムの社会では競争やストレスがつきものです。心理学的アプローチとして、ストレス管理やリラックス法を学ぶことが大切です。深呼吸や瞑想、リラクセーションなどのテクニックを用いて、日常のストレスを軽減し、心地よさを取り戻すことができます。競争には知らず知らずのうちに巻き込まれていることもあります。また、周囲で起こっていることの影響を受け代理トラウマのようになる場合もあるでしょう。健康なうちからいくつかの対処法を身につけておくことで、いざという時に役立ちます。

4. ソーシャルサポートの構築

キャピタリズムの中で孤立感や競争心が生まれることがあります。心理学的アプローチとして、ソーシャルサポートの構築が重要です。友人や家族との関係を大切にし、共感や助け合いの精神を育むことで、孤独感を減少させるだけでなく、心の健康を保つことができます。相談機関の社会資源を活用することも検討してみてください。対面が難しければ電話相談やSNSの活用方法もあります。

5. 自己認識の深化と成長

自己認識を深化させるために、心理学的なアプローチとしてセルフアセスメントやフィードバックを活用することができます。自分の強みや改善点を客観的に見つめ、成長するための計画を立てることで、キャピタリズムの流れに乗りつつも、自己成長を促進することができます。マンダラチャートやリフレーミング、過去の棚卸などを行います。NLP心理学では、あなたが大切にしていることや目標を書き出し、それに向かって行動するための「チャンキング」というものがあります。またセミナーを通してお伝えしますね!

これらの具体的な心理学的アプローチを取り入れることで、キャピタリズムの影響を受けながらも、心の健康を守り、バランスを保った充実した生活を送ることができるでしょう。

現在と未来、バランスを大切に

私たちが今を大切にし、心地よい生活を送ることで、将来の安定も築くことができます。ただし、その逆もまた真実です。将来を見据えて努力することで、今をより豊かにすることも可能です。お金や物質だけでなく、人間関係や趣味、自己成長など、人生を豊かにする要素は数多く存在します。それらをバランスよく取り入れながら、現在と未来をつなげていきましょう。

まとめ

キャピタリズムは、私たちの生活に大きな影響を与える経済体制です。将来への投資や成功の追求は大切ですが、同時に現在を楽しむことと心の健康も忘れてはいけません。現在と未来は繋がっており、バランスを取りながら充実した人生を築くことが理想です。

心理学の観点からも、自己評価や幸福感はお金や成功だけでなく、内面の豊かさによっても育まれることが分かっています。キャピタリズムの流れに流されずに、自分らしい人生を歩んでいきましょう。今を大切にすることこそが、将来への最良の投資なのです。

パスカルのことばをまつまでもなく、人類はあまりにも長い間、現在を犠牲にして未来のために、現在味わえる快楽を先送りしてきた。キャピタリズムとは、現在の楽しみを今楽しまずに将来に向けて投資することを優先する社会にほかならない。未来なしに現在を楽しむことは、そうたやすい術ではないからである。

Title:「官能論」    著:「北山晴一」
管理者

阿賀嶺壮志(アカミネタケシ)1983年沖縄生まれ。
教育学部卒業後に小学校教師となるが、先生同士の対人関係で悩み教員を離れる。その後大学などで学び、作業療法士、公認心理師となり沖縄県内の精神科クリニック及び小中学校のスクールカウンセラーに勤務。2019年より心理学講師(ウェルカルチャースクール/男女共同参画センターてぃるる)2021年に絵本『さばくと少年』を出版。同年コザ信金創業セミナーにてベストビジネスプランナーに選ばれる。

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