
眠れない・悪夢が続くのはなぜ?
「寝ようとしても眠れない」
「やっと眠っても、悪夢で飛び起きる」
「朝から疲れが抜けない」
こうした睡眠の不調は、努力や気合いでどうにかしようとしても、改善しにくいことがあります。
その背景の一つが、トラウマによる“心と体の警戒モード”です。
この記事では、沖縄でトラウマを専門に心理支援を行う立場から、眠れない・悪夢が続く理由と、少しずつ整えていく方法をわかりやすくまとめます。
⚡️ トラウマが睡眠に影響する仕組み
トラウマ体験のあと、脳と身体は「もう二度と危険に遭わないように」と働きます。
その結果、日常が落ち着いていても、体の深い部分が“見張り状態”になりやすいのです。
1)過覚醒:寝るほど安全じゃない
- 些細な音で目が覚める
- 心拍が落ち着かない
- 体がこわばる
といった反応は、警戒が抜けにくい状態(過覚醒)として起こることがあります。
2)侵入症状:静けさで「記憶や体感」が浮上する
日中は忙しさで抑えられていても、夜に静かになると
- 映像がよみがえる
- 胸が苦しい、胃が縮む、息が浅い
など“体感”として戻ってくることがあります。
3)悪夢:脳が「処理しきれない恐怖」を整理しようとする
悪夢は、あなたが弱いから起きているのではありません。
脳が未消化の恐怖を整理しようとして、睡眠中に再現してしまうことがあります。
🪫 こんなサインがあると「トラウマ反応」が関係しているかも
- 寝る前に不安・緊張が上がる
- 眠気はあるのに、体が休まらない
- 悪夢が同じ内容で繰り返される
- 寝汗、動悸、息苦しさで起きる
- 物音や人の気配に敏感になった
- 眠れないこと自体が怖くなっている
※睡眠の問題は、うつ・不安・身体要因(貧血、甲状腺、薬の影響など)も関係します。心身両面で整理すると近道になります。
言葉にならない苦しさほど、夜に強くなることがある
以前、ニュース番組で絵本『砂漠と少年』が特集され、私の原点や活動が紹介されたことがあります。
そこで改めて感じたのは、「言葉にならない苦しさ」ほど、夜の静けさで症状が強まりやすいということです。
だからこそ私は、つらい出来事を無理に詳しく語ることよりも、まずは“体の安心”を育てる支援を大切にしています。
🛌 今夜からできる「整え方」5つ
ここからは、トラウマケアの考え方に沿って、“安全感”を増やす方向の工夫を紹介します。
1)寝る直前に「刺激の強い情報」を入れすぎない
SNS・ニュース・刺激的な動画は、脳を警戒モードに寄せます。
難しい場合は、まず寝る30分前だけでも軽いものに。
2)眠れないときは、寝床で頑張りすぎない
眠れないのに布団で耐えるほど、「布団=緊張する場所」になりがちです。
目安として20〜30分眠れないなら、いったん起きてOK。薄暗い部屋で静かに過ごし、眠気が戻ったら戻ります。
3)呼吸より先に“接地”(グラウンディング)
思考よりも“身体”に反応が出やすいので、まず接地が有効です。
- 足裏に体重をのせる
- 椅子や床の感触を確かめる
- 手で腕や太ももをゆっくりさする
- 部屋の中で「見えるものを5つ」数える
4)悪夢対策:結末を書き換える(イメージ・リハーサル)
繰り返す悪夢には、結末だけを安全に変える練習が役立つことがあります。
- 悪夢を短くメモ
- 結末だけを“安全な展開”に変更(助けが来る/逃げ切れる など)
- 日中に1〜2分、その新しい結末を思い浮かべる
ポイントは、リアルに思い出すより「安全な終わり方」を練習することです。
5)“安心の合図”を毎晩同じにする
安心が自動で入りにくいときほど、毎晩同じ手順が効きます。
例:ぬるめのシャワー → 白湯 → 部屋を少し暗く → 同じ環境音/香り
安心は、繰り返しで育ちます。
💭「相談したい」けど、話すのが怖い方へ
トラウマの相談は、無理に詳細を話さなくて大丈夫です。
まずは「眠れない」「悪夢がつらい」「緊張が抜けない」といった、今の困りごとから整えることができます。
受診も検討した方がよい目安
- ほとんど眠れない状態が2週間以上続く
- 生活や仕事に大きな支障が出ている
- 強い希死念慮がある
- アルコール・薬に頼りすぎてしまう
沖縄でトラウマカウンセリングを探している方へ
眠れなさや悪夢は、あなたの弱さではなく、心と体が生き延びるために身につけた反応かもしれません。
整えていく道はあります。ひとりで抱え続けなくて大丈夫です。
💡トラウマ専門ページへ:トラウマ反応(過緊張・不安)の回復についてはこちら
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❓よくある質問(FAQ)
Q. トラウマが原因の不眠は治りますか?
A. はい、回復(改善)する可能性は十分にあります。
トラウマが背景にある不眠は、意志の弱さではなく、心と体が「危険に備える警戒モード(過覚醒)」を続けている状態で起こりやすいものです。だからこそ、安全感を増やして警戒を下げる関わりを積み重ねることで、少しずつ眠りが整っていく方は多いです。
Q. つらい出来事を詳しく話さないといけませんか?
A. いいえ、詳しく話さなくても大丈夫です。
トラウマのカウンセリングは「何が起きたか」を細かく語ることよりも、まず 今つらい症状(眠れない・悪夢・緊張・不安など)を安全に落ち着かせることから始められます。
Q. 悪夢が続くのは“忘れられていない”証拠ですか?
A. 必ずしも「忘れられていない証拠」とは限りません。
悪夢が続くのは、脳と体がまだ警戒モードにあり、未消化の恐怖や緊張を整理しようとしているサインとして起こることが多いです。つまり、意志の問題というより自動的な反応です。
また、日中は我慢したり気を張っていたりして感情が抑えられているほど、夜の睡眠中に反動として出やすいこともあります。
Q. 眠れない時、布団で頑張るのは逆効果ですか?
A. 状況によっては、逆効果になることがあります。
眠れないのに布団の中で「早く寝なきゃ」と頑張り続けると、脳が 布団=緊張する場所 と学習してしまい、かえって目が冴えやすくなることがあります。
目安として、20〜30分たっても眠れないときは、いったん布団を出てOKです。
Q. 睡眠薬を使うのは良くないですか?
A. 医師の方針のもとで適切に使うことは、選択肢の一つです。不安があるときは「どんな目的で、どのくらいの期間使う想定か」を確認すると安心です。
トラウマが背景にある不眠は「警戒モード(過覚醒)」が関与していることが多いため、薬だけで根本が解決しにくい場合もあります。

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