【公認心理師が解説】PMS・PMDD(月経前症候群/月経前不快気分障害)とは

~こころとからだのバランスを整えるために知っておきたいこと~

🌸 PMS(月経前症候群)とは

PMS(月経前症候群)とは、月経が始まる約1〜2週間前に心身の不調が現れ、月経が始まると軽くなるという特徴をもつ症状群です。
多くの女性が経験しており、その程度は軽い違和感から日常生活に支障をきたすほどのものまでさまざまです。

PMSは「気のせい」ではなく、女性ホルモンの変動が脳や自律神経に影響を与えることによって起こる生理的な現象です。


🧠 主な症状

■ 心の症状

  • イライラ・怒りっぽくなる
  • 落ち込み・涙もろくなる
  • 不安感・焦燥感
  • 集中力の低下・思考の鈍化
  • 無気力・やる気の低下

■ 体の症状

  • 頭痛・腹痛・腰痛
  • 胸の張りや痛み
  • むくみ・体重増加
  • 肌荒れ・ニキビ
  • 眠気・不眠・倦怠感

これらの症状は月経開始とともに軽減、または消失します。


🌿 PMSの原因

PMSの根本には、排卵後のホルモン変化があります。
排卵後に分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の増減により、脳内の神経伝達物質であるセロトニンGABAなどのバランスが崩れ、感情や睡眠、食欲の調整が難しくなります。

加えて、以下の要因も症状を悪化させることがあります。

  • 睡眠不足や生活リズムの乱れ
  • ストレスの蓄積
  • 栄養バランスの偏り(特にマグネシウム・鉄・ビタミンB群不足)
  • カフェインやアルコールの過剰摂取

🌙 PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMSの中でも、特に精神的な症状が強く出て日常生活に支障をきたす場合、
「PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)」と呼ばれます。

主な症状

  • 強い怒りや衝動的な感情
  • 抑うつ・無価値感
  • 対人関係のトラブル(過敏・攻撃的になる)
  • 集中力の著しい低下
  • 自己否定感の増大

PMDDは、うつ病や双極性障害と似た症状を示すこともあるため、専門医による診断と治療が大切です。
治療には、低用量ピル、抗うつ薬(SSRI)、認知行動療法(CBT)などが用いられます。


💡 対処法・セルフケアのポイント

1️⃣ 生活リズムを整える

  • 睡眠をしっかり取り、起床・就寝時間を一定にする
  • 軽い運動(ウォーキング・ストレッチ・ヨガ)を日常に取り入れる
  • 体を温める(冷えは症状を悪化させます)

2️⃣ 食事の工夫

  • マグネシウム(ナッツ・豆腐・ほうれん草)
  • ビタミンB6(まぐろ・バナナ)
  • 鉄分(赤身肉・レバー・ひじき)
    を意識して摂取する。
    糖分・カフェイン・アルコールの摂りすぎは控えめに。

3️⃣ ストレスマネジメント

  • 深呼吸・瞑想・マインドフルネス
  • カウンセリングで感情を整理する
  • 自分の「月経サイクル」と「こころの波」を記録する

✏️専門家からのメッセージ

PMSやPMDDは「こころの弱さ」ではなく、ホルモンと脳のリズムが関係する生理的な反応です。
からだのサイクルにともなう自然な現象ですが、そのつらさは決して「我慢すべきもの」ではありません。

心身の調子に合わせて生活を整え、必要に応じて医療や心理の専門家に相談することで、穏やかなリズムを取り戻すことができます。

プラスワンライフでは、公認心理師によるカウンセリングやストレスマネジメント支援を通して、
こころとからだの調和をサポートしています。


❓ PMS・PMDDに関するQ&A

Q1. PMSとPMDDの違いは何ですか?

A. PMSは心身の軽〜中程度の不調を指しますが、PMDDはその中でも「強い抑うつ・怒り・情緒不安定」などが日常生活を妨げるほど重度の状態をいいます。精神的苦痛が大きい場合は医療機関の受診をおすすめします。PMSやPMDDは、女性ホルモンの変動が関係する疾患のため、診断・治療の第一歩は 産婦人科(婦人科) です。


Q2. PMSの症状が毎月違うのはなぜですか?

A. ホルモン分泌の揺らぎやストレス・睡眠・食生活などの外的要因により、毎月の症状が変動します。体調や生活リズムの記録をつけることで、自分のパターンを把握しやすくなります。


Q3. PMSやPMDDを軽くする薬はありますか?

A. 婦人科では、ホルモンバランスを整える低用量ピルや、うつ症状に対するSSRI(抗うつ薬)を処方されることがあります。自己判断せず、医師と相談のうえで使用しましょう。


Q4. 心理カウンセリングは効果がありますか?

A. はい。心理カウンセリングは、感情の波を客観的に理解し、ストレスに対処する力を育てるサポートになります。PMS・PMDDに伴う「自己否定感」や「怒りのコントロール」にも効果的です。
PMDDでは、怒り・涙もろさ・自己否定感・人間関係のトラブルなど、精神的な症状が強く出ることがあります。その場合は、産婦人科と連携しながら心理カウンセリング・ストレスマネジメント
を組み合わせることで、より効果的なサポートが可能です。


Q5. 男性や職場の理解を得るには?

A. PMS・PMDDは外から見えにくい症状です。理解してもらうには、「体調の波があること」「一時的なものであること」を丁寧に伝えることが大切です。職場のメンタルヘルス教育や相談体制の整備も有効です。

管理者

阿賀嶺壮志(アカミネタケシ)1983年沖縄生まれ。
一般社団法人プラスワンライフ代表理事・公認心理師。精神科クリニックと学校現場において10年以上にわたる心理支援・カウンセリング経験を重ねてきた信頼のカウンセラー。幼少期の病弱で孤独な体験から「ありのままの自分を受け止めてくれる存在」の大切さを深く実感し、心理の道を歩む原点に。教員時代の挫折と児童との思いがけないつながりも、トラウマ支援への志へとつながっています。
2019年に「トラウマ治療専門カウンセリングルーム」を開設。統合的な心理療法と自然療法を組み合わせ、「元以上の状態へ」導く支援を理念としています。2021年には絵本『さばくと少年』を出版し、沖縄県内すべての小学校に配布されるなど、教育への貢献も続けています

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