🤗承認を欲していない人ほど承認に満たされる理由

日々の臨床やカウンセリングの中で、「人から認められたい」という思いに悩む方に出会うことは少なくありません。
誰かに承認されたいと思うこと自体は、とても自然な心の働きです。私たちは社会的な存在であり、他者からの承認によって安心や自信を得ることができるからです。

しかしパラドックス的に――「一番承認を欲していない人ほど、承認に満たされる」現象がしばしば見られます。

それは一体どういうことでしょうか?

「もっと認められたい」「評価されたい」という気持ちが強すぎると、私たちは相手の目線を過度に意識してしまいます。
すると、本来の自分らしさを抑え、無理に頑張ったり、必要以上に周囲に合わせたりする行動が増えていきます。

その結果、かえって人間関係が不自然になり、承認を得られにくくなる――という悪循環に陥ることがあります。

心理学では、これを「承認欲求の罠」と呼ぶことができます。

これは無意識に行われるため、気付きにくいものです。
いつもの自分と違うというのは、とてもエネルギーを使います。適度であれば良いのですが、積み重なると疲れてしまいます。

ここで言う「承認を欲していない」とは、決して「人なんてどうでもいい」という無関心さではありません。
むしろ、「自分はこれで大丈夫」「存在するだけで価値がある」という自己肯定感が土台にある状態を指しています。

そのような人は、無理に相手の期待に応えようとしません。自然体で人と関わることができ、その姿が周囲に安心感を与えます。
結果として「この人は信頼できる」「一緒にいて心地いい」と感じられ、気づけば多くの承認が集まっているのです。

承認を手放すといっても、いきなり「求めないようにしよう」と思うだけでは難しいものです。
ここではカウンセリングでもよくお伝えしているヒントを3つ紹介します。

  1. 自分の小さな達成を自分で認める
     他者の評価を待つのではなく、「今日は早起きできた」「最後まで話を聞けた」など、自分で自分を承認してみましょう。
  2. 弱さを見せる練習をする
     完璧を目指すほど承認欲求は強まります。弱音や不安を少し共有することで、人間関係が自然と深まります。
  3. 「今ここ」に意識を戻す
     「どう思われるか」という未来への不安にとらわれたら、深呼吸をして「今、この瞬間」に注意を向けてみてください。

承認を強く求めすぎず、自分の居心地の良い時間や場所を見つけて増やしていく。
その姿勢こそが、自然に他者からの信頼と承認を引き寄せる力になるのだと思います。

私たちプラスワンライフでは、こうした「自己承認」や「人間関係の安心感」をテーマに、カウンセリングや研修を行っています。
もし「承認欲求に振り回されて苦しい」「もっと自分らしく人と関わりたい」と感じている方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

管理者

阿賀嶺壮志(アカミネタケシ)1983年沖縄生まれ。
一般社団法人プラスワンライフ代表理事・公認心理師。精神科クリニックと学校現場において10年以上にわたる心理支援・カウンセリング経験を重ねてきた信頼のカウンセラー。幼少期の病弱で孤独な体験から「ありのままの自分を受け止めてくれる存在」の大切さを深く実感し、心理の道を歩む原点に。教員時代の挫折と児童との思いがけないつながりも、トラウマ支援への志へとつながっています。
2019年に「トラウマ治療専門カウンセリングルーム」を開設。統合的な心理療法と自然療法を組み合わせ、「元以上の状態へ」導く支援を理念としています。2021年には絵本『さばくと少年』を出版し、沖縄県内すべての小学校に配布されるなど、教育への貢献も続けています

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